誤嚥性肺炎を防ぎながら、おいしく楽しく食べる毎日を
誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)とは
食事中に咳き込んだり、食事が始まると痰がらみのような状態になったりしていませんか。
このような症状が出ているときは、食べ物が気管の中に入り込んでしまっているかもしれません。
本来、気管に入ってはいけないものが気管に入り込むことを「誤嚥(ごえん)」といい、誤嚥によって細菌やウイルスが肺に入っておこる肺炎を「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」といいます。
高齢期に肺炎になると、命にかかわることもあるため、誤嚥を引き起こさない工夫が必要です。
誤嚥して炎症を起こすもの
- 食べ物、飲み物
- 口の中の細菌
- おう吐したとき、吐いたものと胃液を誤って吸い込む
症状
誤嚥性肺炎の症状は、肺炎球菌感染による肺炎の症状と同じです。
発熱などの他に、咳が長期間続いたりなどの症状がみられますが、高齢期には、症状が出にくいこともあります。
高齢期になると、誤嚥しやすくなる
高齢期になると、次のような理由から、誤嚥しやすくなります。
-
食べ物を飲みこんでも、のどに残りやすい
(食べ物を十分噛めない、口や舌・のどの筋肉及び筋力が落ちている、唾液の出る量が少ないことなどが影響しています) -
食べ物などが、誤って気道に入っても、せき込まない、または、せき込みが弱い
(のどの筋肉及び筋力が落ちている、のどの反射が弱いことなどが影響しています)
また、下図のとおり、誤嚥性肺炎を発症する方は、85歳を超えると、とくに多くなる傾向にあることが分かります。
出典:KDBシステム/長野県後期高齢者医療制度に加入している75歳以上の者から抽出
では、誤嚥性肺炎を予防するために、普段の生活において、どのようなことに気を付けたらよいか、以下に紹介します。
誤嚥性肺炎の予防方法
(1)食事のとき、むせない工夫をする
むせやすい食品の一例と、むせないための工夫を紹介します。
むせやすい食品
- 水・お茶など、さらさらした液体
- 味噌汁など、液体と固体が混ざった料理
- いも類・木綿豆腐・ひじき・かまぼこなど、ぱさぱさ・ぼろぼろした食べ物
「食べ物」を工夫する
1.とろみをつける
口の中の食べ物をひとまとめにして飲み込めるように、とろみをつけるなど工夫しましょう。
- あんかけ
- 卵とじ
- 市販のとろみ剤を使う
2.飲み込みやすい形にかえる
口やのどに張り付きやすいものは、飲み込みやすいように形を変えましょう。
- 海苔は、板海苔ではなく佃煮に変更する
-
薄切りキュウリやレタスなどは、ぺらぺらしない形に切る
(千切り・やや厚めに切る、葉物野菜は巻いて食べるなど) -
お餅・お団子などは、小さくちぎる・とうふ白玉に変更する
(白玉粉を木綿豆腐の水分で丸めて白玉にする)
注意:お餅を食べるときは、窒息防止のため、必ず誰かが見守っている状況で食べるようにしてください。
「食べ方」を工夫する
1.食べる姿勢を整える
誤嚥しにくい姿勢をとり、食べることに集中します。
- 顎を引く
- 椅子には深く腰掛け、かかとをしっかり床につける
2.のどの通りをよくする
食事の前に水分を摂り、のどの通りを良くします。
3.少しずつ食べる
一口で食べる量を少なめにして、ゆっくり食べます。
「介助の方法」を工夫する
食事の介助をする方ができる工夫もあります。
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座って介助する
(介護者が立っていると、食べる人の顎があがってしまうため) - 飲み込んだことを確認してから、次の一口を差し出す
- 話しかけるのは、口の中に食べ物がないときにする
(2)飲み込む力をつける
飲み込みの力を維持するため、また、唾液を出やすくするために、口やのどの体操をしましょう。
口周りや、のどの筋肉・筋力が上がることに加えて、口の乾燥を防ぐことや、オーラルフレイルの予防にも繋がります。
飲み込む力をつける運動
- 舌を口の中ではじいて「タッ」と音を立てて鳴らす。
- 舌で左右の頬を内側から押す。
- 額に手を当て、押しながらゆっくり5秒数えながら、下を向く。
- 口を閉じて、つばを飲み込む動作(ごっくんの途中)を3秒間キープする。
どれも、無理のないように行いましょう。
(3)口の中の細菌の量を減らす
高齢期は、唾液の出る量が少ない、歯磨きが不十分、義歯の手入れが不十分などといった状況により、細菌が多く繁殖する条件が揃いやすい年代です。
口の中には、常に細菌がいますが、口の中を清潔に保つことで、細菌が増えないようにすることができます。
- 起床したら、口をすすぐ
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食事のあとは歯磨きをする
(舌ブラシで舌の掃除をすると、なお効果的です。寝る前にも磨くと、更に衛生的です。) - 義歯は、外して丁寧に洗う
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定期的に歯科医院に行き、お口が清潔か、かみ合わせに支障がないかをみてもらう
(歯や歯肉の治療、及び義歯の調子を整えることができます。)
(4)普段から免疫力を高めておく
普段から免疫力を高めておき、細菌やウイルスと戦う力を備えておくことも、誤嚥性肺炎の発症予防のために重要です。
十分な睡眠をとる、換気をする、冬は暖かくして過ごすことがおすすめです。
また、主食・主菜・副菜のそろったバランスの良い食事をとることで、免疫力を高めることができます。
誤嚥しないように工夫しながら、おいしく楽しく食事をとり、毎日を元気に過ごしましょう。
このページに関するお問い合わせ先
長野県後期高齢者医療広域連合
事務局 保健事業室 保健事業係
電話:026-229-5320