命を守るために 肺炎にかからない!

登録日:2023年3月3日

肺炎とは

 風邪は、呼吸器の入り口にあたる鼻やのどにウイルスが感染し、発熱や鼻水などの症状がみられます。一方、肺炎は、さらにその奥の肺にまで細菌やウイルスが感染し、発熱などの他に、咳が長期間続いたりなどの症状がみられます。

 肺の奥には、「肺胞(はいほう)」という、酸素と二酸化炭素の入れ替えを行っている部分があります。肺胞にまで感染が広がってしまうと、身体に酸素を取り込めなくなり、二酸化炭素を放出する能力が弱まってしまうため、命にかかわることがあります。

 また、肺炎を引き起こす細菌が血流に乗り、体の全体に広がってしまうと、敗血症になり、場合によっては、死に至ることもあります

高齢期における肺炎は、重症化しやすい

長野県における現状

 次の図は、長野県における肺炎の死亡人数を示したグラフです。歳を重ねるごとに、肺炎による死亡人数は、増加傾向にあることがわかります。

長野県 肺炎による死亡人数

 

 次の図は、長野県における死因の順位を示したグラフです。肺炎は、令和元年の死因第5位となっており、過去と比べると、死因に占める割合は低くなってきているものの、依然として、高い順位にあることが分かります。

長野県の死因順位

 

高齢期における肺炎の傾向

 上の図で示したとおり、高齢期になると、肺炎にかかりやすくなり、また、症状が重くなりやすくなる傾向にあることが分かります。

 ではなぜ、そのような傾向にあるのでしょうか。次の要因が考えられます。

肺炎にかかりやすい要因

  • 細菌やウイルスなどと戦う力が弱まる

  • ものを飲み込む力が低下し、誤嚥性肺炎になりやすい

肺炎の症状が重くなりやすい要因

  • 細菌やウイルスなどと戦う力が弱まる
  • もともと持病がある、慢性の病気を持っている
  • 症状が出にくいため、受診が遅れてしまう

肺炎の症状

 歳を重ねていくと、細菌やウイルスなどと戦う力が弱まるため、肺炎にかかっても症状が出にくい方が多くなります。

 軽い風邪のような症状でも、7日以上長引いたり、症状が強くなったりしたときは、肺炎を疑って、医療機関を受診しましょう。

 

肺炎をきっかけに、こんなことも起こります

  • 肺炎をやっつけるのに体力を奪われる
    → 持病が重くなったり、新たに別の病気にもかかりやすい
  • 肺炎の治療のため入院する
    → 入院生活により足腰の筋肉が衰える、認知症になりやすい、寝たきりになりやすい

 

肺炎予防のコツ ~免疫力をつけて、元気に過ごす!~

肺炎を予防するために、次のことに気を付けましょう。

(1)予防接種

肺炎球菌の予防接種を受ける

 肺炎になる要因として、一番多い微生物は、肺炎球菌です。

 この肺炎球菌の予防接種は、定期接種を実施しています。主に65歳以上で、対象の生年月日に生まれた方は、肺炎球菌ワクチンの定期接種を1回受けることができます。対象者は年度ごとに変わりますので、該当する方は、機会を逃さないようご注意ください。

 肺炎球菌ワクチンの対象者は、厚生労働省のウェブサイト「肺炎球菌感染症(高齢者)」をご確認ください。

 詳しくは、お住まいの市町村にお問い合わせください。

インフルエンザの予防接種を受ける

 高齢期は、インフルエンザにかかると、肺炎を合併して発症する可能性が高くなります。

 インフルエンザと肺炎の両方を予防する意味でも、インフルエンザの予防接種は毎年受けましょう。

 

(2)普段から免疫力を高めておく

 普段から免疫力を高めておき、細菌やウイルスなどと戦う力を蓄えておくことが大切です。

免疫力をつけるには

  • 暖かくして過ごす
  • 部屋の加湿でのどを守る(湿度の目安:50%~60%)
  • 部屋の換気をする(1時間に2~3分ずつ)
  • 十分な休養をとる
  • バランスのとれた食事をとる(なかでも、緑黄色野菜などの色の濃い野菜は、免疫力を高めます)
  • 人ごみに入らない

 

(3)こまめな手洗い

 手洗いをすることで、手に付着した細菌やウイルスなどを洗い流すことができます。

手を洗うタイミング

  • 食事の前後
  • トイレの後
  • 外出後、室内に入ったとき
  • 調理の前後
  • 手で覆って、咳・くしゃみをした後

手洗いの方法

正しい手の洗い方

画像出典:厚生労働省 インフルエンザ対策 啓発ツール 手洗いポスター(2020年7月10日閲覧)

 普段手洗いするときに、洗っていない部分はありませんか?

 特に洗い残しが多いのは、3の爪の先、5の親指周りです。手洗いのときは、特に意識して洗うようにしましょう。

 細菌やウイルスは、石鹸に弱いため、石鹸を付けて洗いましょう。

 

参考資料