冬の食中毒 ノロウイルスにご注意!

登録日:2020年3月4日

 ノロウイルスに感染して起こる食中毒は、冬場に多く発生します。毎年11月から増え始め、12月から翌年1月が発生のピークです。

どこから感染するのか

ノロウイルスの感染経路はいくつかあります。主な感染経路は経口感染接触感染です。

  • 経口感染:ノロウイルスに汚染されたカキなどの二枚貝を
         生の状態、あるいは、加熱不十分な状態で食べる

         ノロウイルスに感染した人が調理したものを食べる。
  • 接触感染:感染者の便や、おう吐物に直接触れて、手や指にノロウイルスが付着する。
         感染者が排便後に十分手を洗わずにトイレのドアノブに触れて、付着する。

 他にも、感染者のおう吐物が床に飛散した際にノロウイルスの含まれた飛沫を吸いこんだり(飛沫感染)、感染者の便や吐物が乾燥し空気中を漂ったものを吸いこんだりして(空気感染)、感染することもあります。

症状・特徴

潜伏期間

 24~48時間

症状

 吐き気、おう吐、下痢、腹痛、37℃~38℃の発熱 など

特徴

 感染力が非常に強いのが特徴です。

高齢者は感染すると大変!

 加齢に伴い、ウイルスと戦う力が弱まるため、高齢者がノロウイルスにかかると重症になる傾向にあります。更に、症状のおう吐や下痢により、脱水症状も引き起こされます。また、おう吐物を吸い込むことによる肺炎や窒息にも注意が必要です。

 高齢になるにつれて、持病がある方が多くなりますが、持病がある方は症状が重くなる傾向にあります。

感染しないための対策

(1)つけない

正しい手の洗い方 調理する人がノロウイルスに感染していると、その人が調理した食品を食べることによって、多くの人にノロウイルスが二次感染してしまいます。

 そのため、食品や食器、調理器具などにノロウイルスを付けないように、調理などの作業をする前などの「手洗い」をしっかりと行いましょう。

  • 普段から、丁寧に手洗いをする
  • 腹痛や下痢などの症状があるときは、食品に触れる作業をしない

手洗いの方法

 手を洗う時は、指輪や腕時計などを外し、石鹸を使って洗いましょう。

 洗った後は清潔なタオルで拭いて乾燥させます。

画像出典:厚生労働省『インフルエンザ対策 啓発ツール』(2020年2月28日閲覧)

(2)やっつける

食品の除菌

中心温度85℃~90℃、

90秒以上の加熱

 食品に付着したノロウイルスを死滅させるためには、中心温度85℃~90℃、90秒以上の加熱が必要です。

調理器具の除菌

85℃以上の熱湯で1分以上

もしくは

塩素消毒液に浸す

 普段から調理器具を清潔に保つことも大切です。洗剤などで十分に洗浄した後に、熱湯(85℃以上)で1分以上加熱するか、塩素消毒液(注)(塩素濃度200ppm)に浸して消毒します。

(注)消毒液の作り方(塩素濃度200ppm)
 塩素消毒液は、次亜塩素酸ナトリウムを水で薄めてつくります。家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できます。
 家庭用塩素系漂白剤(原液の濃度約5%)の場合:原液 ペットボトルのキャップ2杯水 500ミリリットル

(3)ひろげない

 ノロウイルスが身近で発生したときには、食器や室内などの消毒を徹底して行います。また、おう吐物などの処理の際に二次感染しないように対策をすることが重要です。

おう吐物などの処理の手順

  1. 感染を防ぐものを身に着ける
    ■着用するものリスト
    • 使い捨てエプロン
    • 使い捨てマスク
    • 使い捨て手袋

    ゴーグルもあれば着用しましょう

  2. ペーパータオルなどでおう吐物等を乾燥する前に除去する。その後、おう吐物の付着していた場所を、浸すように塩素消毒液でふき取る。

  3. ふき取ったおう吐物や手袋などはビニール袋に密閉して廃棄する。(できればビニール袋の中で1,000ppmの塩素消毒液(注)に浸す。)

  4. 屋内への拡散防止のため、おう吐物処理が終わってから換気を行う。

  5. 終わったら丁寧に手を洗う

注:消毒液の作り方(塩素濃度1,000ppm)
 家庭用塩素系漂白剤(原液の濃度約5%)の場合:原液 ペットボトルのキャップ2杯水 2リットル

食器・室内の消毒のポイント

  • 感染者が使った物や、おう吐物が付いた物は、他と分けて洗浄・消毒する。
  • 食器は、熱湯(85℃以上)で1分以上加熱するか、塩素消毒液に浸して消毒する。
  • ドアノブなども、塩素消毒液などで消毒する
    ドアノブなどの金属は、塩素消毒液で腐食してしまうため、消毒後、薬剤を拭きとる。)
  • 洗濯するときは洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いし、十分すすぐ
    (85℃以上の温度で、1分以上の熱水洗濯、塩素消毒液による消毒、高温の乾燥機使用などを行うと、より殺菌効果が高まる。)

感染してしまったときは

 ノロウイルスによる食中毒と思われる症状がみられた場合には、早めに医療機関にかかりましょう。また、症状があるときは、食品に直接触れる作業をしないことも大切です。

 ノロウイルスは、症状が治まってからもしばらくの間、便から排出されますので、引き続き、感染を広げないように手洗いなどを丁寧に行いましょう。


 

出典・参考